そういち総研

世界史をベースに社会の知識をお届け。

このブログについて

世界史をベースに、社会の知識をお届けします。こまかい事柄にとらわれず、大きな流れや全体像をとらえることを大事にしています。世界史は、さまざまな教養の基礎になります。それを初心者にもわかりやすく。しかし一歩深く踏み込んで。あるいは大きな見取…

「帝国」「連邦」とは何か 国の名称や体制についての基礎知識・その2

「共和国」「帝国」「連邦」のような、国の体制に関する名称について、基本的な意味を確認しておこう。歴史や社会を知るうえでの基礎概念である。前回は「共和国」だったが、この記事では「帝国」「連邦」について。こういう概念を整理すると、世界史や世界…

「共和国」「王国」とは何か 国の名称や体制についての基礎知識・その1

「共和国」「帝国」「連邦」のような、国の体制に関する名称について、基本的な意味を確認しておこう。歴史や社会を知るうえでの基礎概念である。この記事では「共和国」について。この記事で述べる定義・説明(一部) 【共和国】国王のいない国【国王】世襲…

古代ギリシア・アテネ(アテナイ)の民主主義・入門 教科書ではわからない、その価値

この記事では、世界史の「定番」的な項目のひとつ、アテネの民主主義(民主政)について述べています。教科書や学校の授業では今ひとつわかりにくい、その特別な意味や価値をお伝えします。(前提の知識、ご存知ならスキップ)古代ギリシアは、文化的には共通…

ベネチア(ヴェネツィア)共和国の歴史に学ぶ、ゆるやかで幸福な没落

目 次 これからの繁栄の基盤は? ベネチア(ヴェネツィア)の発祥 貿易の発展・最盛期へ 環境の変化 ベネチアと日本の歩みの共通点 変化への対応 1600年代における経済の再編 「文化国家」への変貌 1700年代の「観光立国」化 これからの日本の選択肢「ベネチ…

都市への集中・都市化は、はたして「異常」なのか? 都市の歴史から考える

目 次 「アンチ都市」の主張 文明の副作用をどうするか メソポタミア文明の都市化率 100万人都市ローマという到達点 1800年代ロンドンの環境改善 文明国で都市が衰退した事例 都市が衰退するのは、きびしい・不幸な時代 「アンチ都市」の主張 日本経済新聞(…

デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ』 「どうでもいい仕事」が蔓延する現代社会

目 次 「どうでもいい仕事」が増えている 昔はコンプライアンス部なんてなかった 「社会に必要な仕事」の待遇 現象に名前をあたえて問題提起した ブルシット・ジョブは、先進国におけるレント(利権)の肥大化 仕事の本質は「苦行」ではなく「ケア」 良書だ…

少子化の根底にある「リスク回避」と「世間体」 山田昌弘『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』より

社会学者・山田昌弘の『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』(光文社新書、以下本書という)を読んだ。サブタイトルの「結婚・出産が回避される本当の原因」について論じた本。少子化だけでなく、さまざまな問題にかかわる日本社会の特質について考えさ…

「コロナ以後」を考えるための感染症の歴史的事例・「中世のペスト」より「ビザンツのペスト」が参考に

「感染症の大流行がその後の社会に与えた影響」を考えるうえで、よく引き合いに出される「中世ヨーロッパのペスト」の事例。これは、じつはあまり参考にならない。発展途上の新興地域だった当時のヨーロッパと、成熟社会の現代の先進国とでは、条件がちがい…

紙という新しいメディア・その発明と普及による変革の歴史

紙の発明・普及は、社会に流通する情報量の大幅な拡大、文章や図表などの表現方法の発達をもたらした。さらには行政やビジネスの精緻化、文化の洗練にもつながった。新しいメディアの登場が社会に及ぼした影響の範囲は広く、深かったのだ。この変化は、現代…

ファクターXの根底にあるのは「個人主義の弱さ」「同調圧力」か?

目 次 マスクと手洗い 感染は自業自得か 人口あたりの感染者数 東アジアの共通性 個人主義が弱く、かつ経済発展が進んでいる 東アジア的アプローチの限界 合理的アプローチが弱かった日本 マスクと手洗い 「ファクターX」とは、ノーベル賞の山中伸弥教授が…

おすすめできる、大人のための世界史の通史の本

「低コスト」の「手堅い本」をご紹介 ときどき、「世界史の本で何かおすすめはありませんか?」と聞かれます。私そういちとしては、自分が書いた世界史の通史の本があるので、まずはそれをおすすめしたいのが本音です。でも、ご質問は「あなたの本以外で何か…

感染症によって、世界はどう変わってきたか。新型コロナ以後どうなるのか

当ブログでは、このところ「感染症とは人類にとって何か」というテーマに沿った記事を続けてアップしています。2020年4月19日の記事では「感染症は、文明に必然的に伴う副作用」であるという、基本となる見方を述べました。4月23日には「とくに知っておくべ…

大きな被害をもたらした感染症の歴史 ペスト、コレラ、天然痘、インフルエンザ

先日(2020年4月19日)、当ブログでは「感染症は、文明に必然的に伴う副作用である」ということを述べた記事をアップしました。本記事は、その続きです。「感染症とは人類にとって何か」を考える前提となる、とくに知っておくべき、甚大な被害をもたらした世…

感染症は、文明に必然的に伴う副作用である。それを新型コロナを通じて再認識した。

「感染症とは人間にとって何か」ということを、新型コロナの問題に直面している今、考えてみたいと思います。私の場合は、それを世界史を通して考える、ということになります。 目 次 感染症は文明の副作用 都市文明以前・以後 絶えず苦しんできた歴史 「文…

歴史からみるイスラム入門 ムハンマドからアッバース朝成立までのイスラームの形成期

まえがき この記事では、イスラム教あるいはイスラム世界というものがどのようにして成立したかについて初心者向けに解説していきます。つまり歴史からみる「イスラム入門」です。ただし、断片的な通りいっぺんの説明ではなく、かなり系統的に、それなりに踏…

専制(独裁)国家・中国の社会構造と行動の特徴 新型コロナウイルス(新型肺炎)への対応からみえるもの

今回の新型コロナウイルス(新型肺炎)の問題への一連の対応には、中国の社会構造や行動パターンの特徴がよくあらわれている。それは一言でいえば「やはり中国は独裁(専制)国家」ということだ。そして、中国と対比することで、日本の特徴もみえてくる。日…

ゲルマン人の「民族大移動」と西ローマ帝国崩壊の経緯。また、なぜ西ローマは滅び東ローマは残ったか

西暦400年代後半の、ゲルマン人の侵入や内乱による西ローマ帝国の崩壊。これは、「巨大な世界史的変動がどのように起きるか」についての重要なケース・スタディである。世界の「中心」として繁栄してきた超大国が、周辺民族の圧力などによってそれまでの体制…

ビザンツ帝国=東ローマ帝国とはどういう国だったか・そして現代世界とビザンツの共通性

かつて、ビザンツ(ビザンチン)帝国=東ローマ帝国という国があった。西暦400年代以降、ローマ帝国の東半分の地域(バルカン半島、アナトリアなど)で栄えた、古代ローマ帝国の末裔である。この国は長く続いた。その滅亡は1453年。この年、当時のイスラムの…

古代・中世・近代という世界史の時代区分(三区分法)についての基礎知識

時代区分とは、歴史的な時間の流れをいくつかに区分することだ。多くの場合、その区分ごとに名前がつけられる。最もおなじみなのは、日本史の「奈良」「平安」「鎌倉」「室町」…といった「〇〇時代」の区分だろう。世界史の時代区分では、「古代―中世―近代」…

15分で読む・初心者のための世界史まとめ 5000年の大きな流れを短時間で見わたす

世界史5000年余りの大きな流れを、15~20分で読める分量でまとめてみた。各時代の世界で最も繁栄した「中心」といえる地域に焦点を合わせ、その移り変わりを追いかけるという方法で述べている。「あれもこれも」と盛り込もうとせず、多くのさまざまな国や地…

日本と世界の文化で創造の活力が低下している? 今年見た展示などを振り返って・高畑勲展ほか

今年2019年に見にいったいくつかの展示や作品……建設中の国立競技場、高畑勲展、建築家のアアルトやル・コルビュジエ、現代芸術のトム・サックス展。どれも興味深かった。一方で「今の時代は画期的な新しいものが生まれにくくなっている」という、創造におけ…

大人のための世界史の勉強法 詰め込み過ぎずに大きな流れをつかむことに徹する

なぜ世界史の勉強はむずかしいか 学校の授業でも、教養目的でも、世界史は勉強がむずかしいといわれます。なぜでしょうか。それは、対象範囲がきわめて広いからです。なにしろ対象が「世界」です。出てくる国や民族、事件や年号が膨大です。そして学校の教科…

久し振りの「怒れる若者」 グレタ・トゥンベリさんの演説

かつての「怒れる若者」の時代 9月23日、国連の「気候行動サミット」で怒っていたグレタ・トゥンペリさん。16歳、スウェーデンの環境活動家。おそらく今の世界で一番有名な環境活動家だ。集まったエライ人たち――結局何も決められなかった――に対し「あなたた…

繁栄の中心で起こる「大企業病」が、中国やイスラムの衰退をもたらした原因

世界史において、「世界の繁栄の中心」「覇権国」といえるような各時代を代表する強国・大国は時代とともに移り変わってきた。どれほど繁栄した国であっても、その勢いが永久に続くことはない。たとえば数百年前には、中国の王朝やイスラムの帝国は世界のな…

5分で知る・日本が太平洋戦争(アメリカとの戦争)へ突入していった経緯

日本がアメリカ・中国などの連合国と戦った太平洋戦争(1941~45)。それはナチス・ドイツと連合国(イギリス、ソ連など)の戦争と合わせて、第二次世界大戦(1939~45)の一部分である。日本が大戦争に至るまでの経緯を、5分で読めるくらいにごく簡単にまと…

人類は壁をつくってきた メソポタミア、万里の長城からメキシコ国境のトランプの壁まで

トランプ大統領は、アメリカとメキシコの間の国境に壁を建設・整備しようとしている。このような、文明の中心部へ周辺の人びとが侵入するのを防ぐための壁は、有史以来くり返し建設されてきた。そして、そのような壁は、長期的にみればくり返し破られてきた…

貿易ネットワークの崩壊が鉄器時代をもたらした? 鉄器時代の開始という大革新はなぜ起こったのか

鉄器の発明・普及というのは、世界史における最大級の技術革新のひとつだろう。製鉄がいつ・どこで始まったのか、つまり「製鉄の起源」については、じつははっきりしない点が多く、ここでは立ち入らない。しかし、鉄器の「普及」がいつ・どこで始まったか、…

「言語系統による人類の分類」という考え方 「民族の系統」とはどういうことか

世界にいるさまざまな人びとをグループ分けするとき、最も一般的なのは「民族」という単位で分類・整理することだろう。「民族とは何か」については、さまざまな議論があるが、一応は「言語をはじめとする文化を共有する集団」だといえる。文化のさまざまな…

ヘレニズム時代とは何か 「古代ギリシアの普遍化」がなされた時代

ヘレニズム時代とは、おもに地中海沿岸とその周辺地域における時代区分で、アレクサンドロス大王の東征(アケメネス朝ペルシアなどへの進軍)が始まった紀元前300年代前半から紀元前1世紀後半までを指す。その時期は、一般には「古代ギリシア」と「ローマ帝…