世界史をベースに、社会の知識をお届けするブログ。こまかい事柄にとらわれず、大きな流れや全体像をとらえることを大事にしています。世界史は、さまざまな教養の基礎になります。それを初心者にもわかりやすく解説。しかし一歩深く踏み込んで。あるいは大…
ロシアによるウクライナ侵攻の経緯をみていると、「日本が中国に侵攻した日中戦争(1937~1945)と似たところが多々ある」と近頃思うようになりました。 まず、日中戦争はどんな経緯だったか。以下、ごくおおまかに述べます。 目 次 満州事変 日中戦争の始ま…
はじめに この世界には「狭間の国」といえる国家が存在します。複数の大国に囲まれ、たえずその勢力争いに巻き込まれてきた国です。 今世界から注目されるウクライナは、典型的な「狭間の国」といえるでしょう。以下、その視点でウクライナの歴史をざっと述…
はじめに 株式会社は、近代社会の核となった重要な制度だ。この制度はいつ頃どのようにして生まれたのか?また、どのような意味を持つものだったのか?ヨーロッパで始まった近代社会では、物理・化学などの科学と、それを応用した科学技術が、社会を発展させ…
選挙などで政治がとくに話題になるとき見聞きする「リベラル」「保守」「新自由主義」などの、政治的立場にかかわる用語。それらの意味や成り立ちについて解説します。 目 次 リベラルとは何か リベラルの歴史 保守とは何か 保守の歴史 保守と革新・戦後の日…
はじめに・テーマ選びは重要 今回のテーマは、勉強や独学の良いテーマをどうみつけるか、ということだ。そのためのコツについて述べる。前回は、大人の勉強で大事なのは「作品化」だと述べた。勉強の成果をまとまった文章などのかたちにすることだ。作品化を…
「勉強・独学は、人生を楽しくするためにするものだ」ということを、前回述べた。では「楽しい独学」のために、まず大事なことは何だろうか?目 次 大人の勉強では「作品化」が大事 博識でも書かない人 ある独学者の事例から やはり「作品化」をめざそう 力…
アリストテレスについての入門的な解説は、素材が素材だけにやはり読みにくいものが多いです。この記事は「読みやすく、しかしそれなりの情報を盛り込んで、アリストテレスという巨人の概要をシンプルに伝える」ことを、めざしています。アリストテレス(前3…
はじめに アフガニスタンについては、今いろんなことが論じられていて、それらをいくらかでもまじめに追っていると頭が混乱してしまいそうだ。この記事では、アフガニスタン情勢についてのニュースなどをより深く理解するための基礎知識を述べる。アフガニス…
はじめに アテネなどのポリス(都市国家)が繁栄した時代の古代ギリシアが生んだ、さまざまな文化的・物質的成果をみわたすシリーズの2回目。ただし第1回を読まずに、この記事からでも大丈夫。第1回は、古代ギリシアの文化的な成果について述べたが、この記…
はじめに この記事では、アテネなどのポリス(都市国家)が繁栄した時代の古代ギリシアが生んだ、さまざまな文化的・物質的成果をみわたしていく。ただし、民主政(民主主義)については、それを主題にした関連記事があるので、そちらをみていただきたい。こ…
はじめに 私そういちは、勉強法、独学術、読書術といった「知の技法」に関心がある。以前に『自分で考えるための勉強法』(電子書籍、ディスカヴァー21刊)という本を出したこともあるくらいだ。そして、とくに「独学」ということには、強い想いを抱いている…
はじめに 最近、速水融『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』(藤原書店、2006)を読み返した。第一次世界大戦末期の1918年から終戦直後の1920年まで世界的に流行した、「スペイン風邪」ともいわれたインフルエンザの、日本での状況について述べた本であ…
そもそもの説明 明治維新とは、とりあえずの説明としては「徳川幕府による支配体制が倒され、明治政府の新体制が成立した変革」のことです。明治維新という変革をどう評価するのか。歴史的にどういう意義があったのか。つまり、明治維新とは何だったのか。そ…
アラビア科学のさまざまな成果をみわたす 前回の記事(アラビア科学の歴史1)で、中世のイスラムの国ぐには世界の繁栄の中心で科学研究がさかんだったこと、その科学が古代ギリシアの遺産を受け継いだものであることを述べた。本記事では最盛期のアラビア科…
はじめに・アラビア科学について知る意味 アラビア科学は、中世(500年頃~1500年頃)にとくに繁栄したイスラムの国ぐにで研究された科学のことだ。イスラム科学ともいう。今から1000年ほど前の世界では、イスラムの国ぐには世界の中心で、その科学研究は最…
目 次 先進国のあいだでもコロナの被害状況が大きくちがう 主要国の人口100万あたり新型コロナ死者数 被害の程度で3つのグループに分ける 社会の特徴のちがいとコロナの被害 裏付けとなる社会統計のデータはないか 乳児死亡率 アメリカの乳児死亡率の高さ …
楷書・行書・草書 漢字の書体で、私たちがまず習うのは楷書(かいしょ)という、字画を略したり続けたりせず、きちんと書く書体です。そのような「きちんとした公式な書体」のことを「正書体」といいます。私たちが役所などに出す公的な書類は、楷書で書くこ…
今年2020年はドイツの作曲家ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770~1827)の生誕250年。そこでベートーヴェンについて、いろいろと取り上げられています。本記事では、その人物像や音楽そのものよりも、「世界史の大きな流れのなかにベートーヴェンの…
「共和国」「帝国」「連邦」のような、国の体制に関する名称について、基本的な意味を確認しておこう。歴史や社会を知るうえでの基礎概念である。前回は「共和国」だったが、この記事では「帝国」「連邦」について。こういう概念を整理すると、世界史や世界…
「共和国」「帝国」「連邦」のような、国の体制に関する名称について、基本的な意味を確認しておこう。歴史や社会を知るうえでの基礎概念である。この記事では「共和国」について。この記事で述べる定義・説明(一部) 【共和国】国王のいない国【国王】世襲…
この記事では、世界史の「定番」的な項目のひとつ、アテネの民主主義(民主政)について述べています。教科書や学校の授業では今ひとつわかりにくい、その特別な意味や価値をお伝えします。(前提の知識、ご存知ならスキップ)古代ギリシアは、文化的には共通…
目 次 これからの繁栄の基盤は? ベネチア(ヴェネツィア)の発祥 貿易の発展・最盛期へ 環境の変化 ベネチアと日本の歩みの共通点 変化への対応 1600年代における経済の再編 「文化国家」への変貌 1700年代の「観光立国」化 これからの日本の選択肢「ベネチ…
目 次 「アンチ都市」の主張 文明の副作用をどうするか メソポタミア文明の都市化率 100万人都市ローマという到達点 1800年代ロンドンの環境改善 文明国で都市が衰退した事例 都市が衰退するのは、きびしい・不幸な時代 「アンチ都市」の主張 日本経済新聞(…
目 次 「どうでもいい仕事」が増えている 昔はコンプライアンス部なんてなかった 「社会に必要な仕事」の待遇 現象に名前をあたえて問題提起した ブルシット・ジョブは、先進国におけるレント(利権)の肥大化 仕事の本質は「苦行」ではなく「ケア」 良書だ…
社会学者・山田昌弘の『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』(光文社新書、以下本書という)を読んだ。サブタイトルの「結婚・出産が回避される本当の原因」について論じた本。少子化だけでなく、さまざまな問題にかかわる日本社会の特質について考えさ…
「感染症の大流行がその後の社会に与えた影響」を考えるうえで、よく引き合いに出される「中世ヨーロッパのペスト」の事例。これは、じつはあまり参考にならない。発展途上の新興地域だった当時のヨーロッパと、成熟社会の現代の先進国とでは、条件がちがい…
紙の発明・普及は、社会に流通する情報量の大幅な拡大、文章や図表などの表現方法の発達をもたらした。さらには行政やビジネスの精緻化、文化の洗練にもつながった。新しいメディアの登場が社会に及ぼした影響の範囲は広く、深かったのだ。この変化は、現代…
目 次 マスクと手洗い 感染は自業自得か 人口あたりの感染者数 東アジアの共通性 個人主義が弱く、かつ経済発展が進んでいる 東アジア的アプローチの限界 合理的アプローチが弱かった日本 マスクと手洗い 「ファクターX」とは、ノーベル賞の山中伸弥教授が…
「低コスト」の「手堅い本」をご紹介 ときどき、「世界史の本で何かおすすめはありませんか?」と聞かれます。私そういちとしては、自分が書いた世界史の通史の本があるので、まずはそれをおすすめしたいのが本音です。でも、ご質問は「あなたの本以外で何か…